東京でいま起きているAIと集客の変化

以前は、紹介や口コミで自然と仕事が入ってきた。ホームページも広告も出している。それなのに、ここ最近、新しい問い合わせがめっきり減った。たまに来ても、値段だけ聞かれて、そのまま返事が来ない。もし今、こんな状況に心当たりがあるなら、原因はあなたの腕でも、努力の量でもありません。

実は、お客さんは問い合わせてくる前に、仕事を頼む会社をほぼ決めています。問い合わせの大半は、決めた後の確認の連絡でしかありません。発注するかどうかは、問い合わせが来る前にほぼ決まっているのです。

お客さんは、問い合わせる前に頼む会社を決めている

人の購買行動は、時代や技術の進化によって変わりました。困りごとが出たら、まず検索します。課題を解決できそうなサービスを見比べる。それぞれのホームページや発信を読んで、ここなら良さそうだと当たりをつける。実際に問い合わせるのは、もう心の中で決めた会社です。問い合わせが来た時点で、比較して選ぶ作業の大半は、すでに終わっています。

これが何を意味するか。検索して見比べている段階で選ばれていなければ、そもそも問い合わせは来ません。営業が下手なのではありません。比較される前に、候補から外れています。

昔は、一度会って話せれば、そこで選んでもらえました。人柄や仕事への向き合い方を直接伝えれば、多少の条件差は越えられた。ところが今は、その会って話す機会そのものが減っています。お客さんは会う前にネットで比較検討し、候補に残った一社か二社にだけ連絡する。会って取り返すどころか、会う候補にすら入っていない。だから集客で力を入れないといけない場所が、会ってからの一押しよりも、その手前の「見つけて選んでもらう段階」に移りました。

選ばれた会社は、値段で叩かれない

直接話を聞く前に、この会社に頼みたいと思われた会社は、値段で叩かれません。相見積もりの当て馬にもなりません。反対に、比較対象の中の一社でしかない会社は、最後は価格で選ばれがちです。同じ仕事でも、指名で入るか、比較されて入るかで、売上がまるで変わります。

指名される会社になるために必要なのは、売り込みではありません。買ってください、うちは安いです、という一方的な発信は、むしろ嫌われます。効くのは、相手が知りたいことを先に教えることです。この仕事はどこで費用が変わるのか。頼むときに失敗しない選び方は何か。お客さんが不安に思っていることの答えを、聞かれる前に渡す。答えを先に出した会社が、この分野に詳しい人だと覚えてもらえます。

お客さんは、自分より詳しい人に頼みたいと思っています。値段を並べるだけの会社は、比較対象にしかなりません。お客さんの悩みの解決に繋がる知識を先に渡している会社は、相談したい相手になります。この違いは大きい。相談されるようになると、そのお客さんは他社と比べる前に、まずこちらに聞きに来ます。比較される立場から、指名で選ばれる立場に変わる。売り込みをやめて教える側に回ることが、価格競争から抜け出す一番の近道です。

東京の企業で、AIは実際にこう使われている

僕は東京の最前線にいる会社を取材し、上場企業の社長と直接話す機会があります。自分の仕事でも毎日AIを使っています。そこで見えてきたのは、お客さんに渡す説明や資料を、AIが下書きして人が仕上げる形です。たとえば、見積書、よくある質問への答え、契約の前の不安を消すための案内。こうした「お客さんの疑問に先回りして答える内容」を、AIがたたき台まで一気に作ります。ゼロから人が書くより、はるかに速い。

これで何が変わるか。お客さんに届ける情報の量を増やしても、質が落ちなくなります。今まで人手が足りずに手が回らなかった会社が、同じ人数で、先回りの説明を用意できるようになる。答えを先に渡せる会社と、渡せない会社。その差が、そのまま指名されるかどうかの差になっていきます。

AIに任せると品質が落ちる、という不安の答え

AIに任せると品質が落ちる。これは、よく聞く不安です。半分は正しい。丸投げすれば、確かに落ちます。AIが書いた文章をそのまま出すと、どこかで見たような、中身の薄いものになります。

正しいのは、AIと人の役割を分けて使うことです。まずAIに下書きをさせて、その仕事を分かっている人間が、事実と現場の中身を足して仕上げる。AIは、あなたの会社が積んできた経験までは知りません。だからそこは人が手を加える。逆に、文章の骨組みを速く組む作業は、AIのほうが圧倒的に速い。得意なところを、それぞれに受け持たせるだけです。

料理に例えると分かりやすい。野菜を洗って切る。具材を計って並べる。鍋を火にかける手前まで、そこまでをAIがやる。味付けと盛り付けは、料理人の仕事です。下ごしらえを全部人間がやっていた頃より、出せる皿の数は増えて、味は落ちません。品質が落ちるのは、味付けまでAIに任せて、そのまま客に出したときだけです。

地方のセミナーで教わるChatGPTやノートブックLMの操作は、その入口にすぎません。前線では、もうメインで使われているツールではありません。操作を覚えることではなく、下書きと仕上げをどう分けて仕組みにするか。いま効いているのは、そこです。

北陸にこの波が来るのは2〜3年後。今から取り入れる順番

東京で当たり前に使われている技術が北陸に届くまでには、2〜3年の時差があります。これは地理と、情報が伝わる経路の問題で、経営者が遅れているという話ではありません。ただ今後は、これまでより大きく差が開きます。AIは、早く使い始めた会社ほど、ノウハウが溜まって、使うほど効率が上がっていくからです。

地方の会社が最初に取り入れる順番を書いておきます。まず、お客さんからよく聞かれる質問を書き出して、その答えをAIに下書きさせ、自分で直す。毎回聞かれることは、そのままお客さんへの説明に使えます。次に、その答えをホームページの「よくある質問」や、見積りに添える一言にして届ける。ここまでは、パソコンとスマホだけでできます。

大事なのは、順番を飛ばさないことです。最初から完璧な仕組みを作ろうとすると、たいてい続きません。よく聞かれる質問に、一つ答える。それをお客さんに届ける。この小さな一周を回せるようになってから、次に進む。人を増やさずに、先回りの説明を続けられる形が手に入ります。早くAIを使い始めた会社ほど、この習慣と溜まったノウハウが積み上がって、後から動きだす会社との差が開いていきます。

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この記事を書いた人

笹島拓也。株式会社resolves代表。富山県砺波市を拠点に、北陸の会社の集客と採用を、動画とSNSとAIで支えています。SNS集客とAI活用の講師として、これまで2,000名を超える人に教えてきました。東京の最前線にいる会社を取材し、上場企業の社長と直接話す機会があります。自分の毎日の仕事でも、AIを使っています。東京で起きていることを、2〜3年待たずに北陸へ届けたい。それが僕の仕事です。