YouTube動画がもたらす企業PR効果
企業PRといえば、かつては新聞や雑誌の広告、テレビCMが主流でした。でも今は違います。YouTubeを中心とした動画マーケティングが企業PRの最前線に立っているんです。
ぼくがWebマーケターとして活動する中で、クライアントから最も多く相談されるのが「YouTube動画をどう活用すればいいのか」という悩みです。特に採用活動に活かしたいという企業が急増しています。
なぜこれほどYouTube動画が企業PRに効果的なのでしょうか？
それは単純に、圧倒的なユーザー数と情報伝達力にあります。インターネット行動分析を行う株式会社ヴァリューズの調査によると、YouTubeの利用率は男性90.4%、女性86.6%と全体で約9割にも達しています。特に20～30代の約3割が休日に3時間以上YouTubeを視聴しているというデータもあります。
これだけ多くの人々が利用するプラットフォームで、自社の魅力を伝えられる機会を逃す手はありません。
企業PR動画の種類と目的別活用法
企業PR動画と一口に言っても、その種類や目的はさまざまです。ぼくがクライアントと一緒に制作してきた経験から、主に以下の4つに分類できます。
まず「商品・サービス紹介」です。これは企業の提供する商品やサービスの機能、メリット、使用感などを動画で紹介するものです。文字や静止画だけでは伝わりにくい価値や使い方を、動きのある映像で効果的に伝えられます。
次に「ブランディング」を目的とした動画。これは企業の歴史や理念、開発秘話などを伝えることで、信頼性や好感度を高めるためのものです。視聴者の共感を生み出し、企業イメージを向上させる効果があります。
3つ目は「広報PR」です。企業の社会貢献活動やイベント、プレスリリースなどを動画で発信することで、企業の取り組みを広く知ってもらうことができます。
そして最後に「採用」を目的とした動画。これは今、特に注目されている分野です。企業文化や働く環境、社員の声などを紹介することで、求職者に「この会社で働く自分」をリアルにイメージしてもらえます。
どの種類の動画を制作するにしても、ターゲットを明確にすることが重要です。BtoB向け、BtoC向け、求職者向けなど、誰に見てもらいたいのかによって、内容や表現方法を変える必要があります。
ぼくがある企業の採用動画を制作した時のこと。「技術力の高さ」を前面に出した堅い内容にするか、「社内の雰囲気の良さ」を伝える柔らかい内容にするか迷いました。結局、ターゲットを「第二新卒と中途の転職希望者」に絞り、技術的なやりがいと温かい社風の両方を伝える構成にしたところ、応募数が前年比150%になったんです。
このように、誰に何を伝えたいのかを明確にすることが、効果的な企業PR動画の第一歩です。
YouTube動画制作の成功メソッド5ステップ
では具体的に、企業PRに効果的なYouTube動画を制作するためのステップを解説します。ぼくが実際のクライアントワークで活用している5つのステップです。
1. 目的とターゲットの明確化
まずは「なぜ動画を作るのか」「誰に見てもらいたいのか」を明確にしましょう。これが曖昧だと、制作過程でブレが生じて効果的な動画になりません。
例えば採用活動が目的なら、どんな人材を求めているのか具体的に設定します。新卒なのか中途なのか、どんなスキルや価値観を持った人に来てほしいのかを明らかにしておくことで、メッセージの方向性が定まります。
2. ABCDフレームワークの活用
YouTube広告で効果を上げるために、Googleが提唱している「ABCDフレームワーク」は企業PR動画にも非常に有効です。
A(Attract)：最初の5秒で視聴者の関心を引きつける
B(Brand)：早い段階でブランドや企業名を印象づける
C(Connect)：ストーリーと視聴者を感情的に結びつける
D(Direct)：明確なアクションを促す
このフレームワークに沿って構成を考えると、視聴者の離脱を防ぎ、メッセージを効果的に伝えられます。特に最初の5秒が重要です。ぼくが制作した動画でも、冒頭で視聴者の興味を引けなかった場合、離脱率が格段に高くなることがデータからも明らかになっています。
3. ストーリーテリングの構築
単なる情報の羅列ではなく、ストーリー性を持たせることで視聴者の感情に訴えかけることができます。
ある建設会社の企業PR動画では、「創業者の想い」から始まり、「困難を乗り越えてきた歴史」、そして「現在の取り組みと未来へのビジョン」という流れで構成しました。単に「当社はこんな事業をしています」という説明よりも、視聴者の心に残る内容になったんです。
人は論理よりも感情で動くものです。どんなストーリーなら視聴者の心を動かせるか、じっくり考えてみましょう。
4. 視聴者体験を最適化する制作技術
技術的な側面も重要です。画質や音質が悪いと、どんなに内容が素晴らしくても視聴者に伝わりません。
特に気をつけたいのが以下の点です
- 適切な解像度（最低でも1080p）
- クリアな音声（雑音のない録音）
- 適切な照明（暗すぎず明るすぎない）
- 安定したカメラワーク（手ブレの少ない撮影）
- テンポの良い編集（冗長な部分をカット）
実は、高価な機材がなくてもスマートフォンと簡易な照明、マイクで十分なクオリティの動画は制作できます。大切なのは基本的な撮影・編集技術を押さえることです。
5. データ分析と改善の循環
動画公開後の分析も欠かせません。YouTubeアナリティクスを活用して、視聴維持率や視聴者層、トラフィックソースなどのデータを確認しましょう。
例えば、どの時点で視聴者が離脱しているのか、どの部分が特に繰り返し見られているのかを分析することで、次回の動画制作に活かせる貴重な情報が得られます。
ぼくがあるクライアントの動画を分析したところ、会社概要を説明する部分で急激に視聴維持率が下がっていることがわかりました。次回は会社説明を短くし、代わりに社員インタビューを増やしたところ、視聴維持率が10%も向上したんです。
このようにデータに基づいて継続的に改善していくことが、YouTube動画制作の成功への近道です。
企業PR動画の成功事例から学ぶポイント
実際に成功している企業PR動画から学べることは多いです。ここでは特に参考になる事例とそのポイントを紹介します。
ライザップの広告事例
ライザップの「結果にコミットする」というメッセージは、多くの人の記憶に残っていますよね。この動画の成功ポイントは、「ビフォーアフター」という明確な変化を視覚的に示していることです。
企業PR動画でも同様に、自社のサービスや製品によってもたらされる「変化」や「価値」を具体的に見せることが効果的です。抽象的な説明よりも、実際の事例や成果を示すことで説得力が増します。
サントリーの1分間広告
サントリーの健康食品の広告では、短い時間の中に「問題提起」「解決策の提示」「製品紹介」「行動喚起」というストーリー展開がコンパクトにまとめられています。
限られた時間の中で視聴者の注意を引き、メッセージを伝え、行動を促すという基本構造は、企業PR動画でも非常に重要です。特にYouTubeでは、最初の数秒で視聴者の興味を引けるかどうかが鍵となります。
ベネッセの教育サービス広告
ベネッセの広告では、「子どもの未来」という感情的なテーマを中心に据え、親の気持ちに寄り添うストーリーテリングが展開されています。
このように、ターゲットの感情や価値観に訴えかけるストーリーは強い共感を生み出します。企業PR動画でも、単に事実を伝えるだけでなく、視聴者の感情に響くメッセージを盛り込むことが大切です。
これらの成功事例に共通するのは、「視聴者目線」で制作されていることです。自社の伝えたいことだけを一方的に発信するのではなく、視聴者が何を知りたいか、何に共感するかを考えて制作されています。
あなたの会社の企業PR動画も、視聴者の立場に立って考えてみてください。それが成功への第一歩です。
SNS採用支援に効くYouTube動画活用術
最近特に注目されているのが、SNSを活用した採用支援です。YouTubeとInstagram、メタ広告などを組み合わせて、効果的な採用活動を展開する企業が増えています。
この流れの中で、YouTube動画は非常に重要な役割を果たします。なぜなら、求職者が企業を知る最初の窓口として、また詳細な情報を得るための深掘りコンテンツとして、両方の機能を持っているからです。
認知拡大のためのYouTube動画
採用活動の第一歩は、まず求職者に自社の存在を知ってもらうことです。そのために効果的なのが、短くインパクトのある動画です。
例えば、15〜30秒程度の動画で会社の雰囲気や魅力を凝縮して伝え、それをYouTubeショート、Instagram、メタ広告などで展開します。この段階では詳細な情報よりも、「この会社、なんか面白そう」と思ってもらうことが目的です。
ぼくが、ある企業の採用支援を行った際は、社員の「楽しそうな日常」を切り取った15秒動画を制作し、Instagramで配信しました。派手な演出はなくても、実際の職場の雰囲気が伝わる自然な映像が若い求職者の興味を引いたんです。
詳細理解を促すYouTube動画
認知段階を経て、求職者が興味を持ったら次は詳細な情報提供のフェーズです。ここでより長尺のYouTube動画が効果を発揮します。
例えば以下のような内容が効果的です
- 社員インタビュー（実際の業務内容や1日の流れ）
- オフィスツアー（働く環境の紹介）
- プロジェクト事例（どんな仕事に携われるか）
- 成長ストーリー（入社後のキャリアパス）
これらの動画は企業のYouTubeチャンネルにアップロードし、採用ページからリンクさせることで、興味を持った求職者に詳細情報を提供できます。
ある会社では、各部署の若手社員が「自分の仕事のやりがい」を語る3分程度の動画シリーズを制作しました。これにより応募者の質が向上し、入社後のミスマッチも減少したという成果が出ています。
応募行動を促すCTA設計
最後に重要なのが、視聴者を応募行動に導くためのCTA（Call To Action）です。どんなに良い動画でも、次のアクションが明確でなければ効果は半減します。
YouTube動画の説明欄には必ず採用サイトのURLを記載し、動画内でも「詳しくは採用サイトをご覧ください」などと明示的に伝えましょう。
また、YouTube広告として配信する場合は、動画内にクリック可能なボタンを設置できる機能もあります。これを活用して直接採用ページへの誘導を図ることも効果的です。
ぼくの経験では、動画の最後に出演者自身が「一緒に働ける仲間を待っています」と直接呼びかけるシーンを入れると、応募率が上がる傾向があります。人の言葉には説得力がありますからね。
企業PR動画制作の失敗しないポイント
最後に、企業PR動画を制作する際によくある失敗と、それを避けるためのポイントをお伝えします。
自社視点ではなく顧客視点で考える
最も多い失敗は、「伝えたいこと」と「知りたいこと」のミスマッチです。企業側が伝えたい情報と、視聴者が知りたい情報は必ずしも一致しません。
例えば、企業側は「創業50年の歴史」を強調したいかもしれませんが、求職者が知りたいのは「働く環境や待遇」かもしれません。常に視聴者が何を求めているかを考え、その視点から内容を構成することが大切です。
情報過多を避け、焦点を絞る
「せっかくだから全部伝えよう」と情報を詰め込みすぎると、かえって何も伝わらなくなります。1本の動画で伝えるメッセージは1〜3つに絞り、それを明確に伝えることを意識しましょう。
ぼくがクライアントと打ち合わせする際、よく「この動画を見た人に、何を覚えていてほしいですか？」と質問します。その答えが明確になれば、おのずと内容も絞られてきます。
継続的な発信計画を立てる
1本の動画で大きな効果を期待するよりも、継続的に動画を発信していく方が効果的です。最初から完璧を求めるのではなく、まずは始めて、データを見ながら改善していく姿勢が重要です。
YouTube動画は一度公開したら終わりではなく、視聴データを分析して次の動画に活かすというサイクルを回すことで、徐々に効果を高めていくことができます。
ぼくのクライアントの中には、最初は月4本の投稿から始めて、徐々にノウハウを蓄積し、週2本のペースでYouTubeで動画を発信できるようになった企業もあります。まずは小さく始めて、チャンネルを育てていく発想も大切です。
まとめ：企業PRのためのYouTube動画制作
企業PRにYouTube動画を活用することは、もはや選択肢ではなく必須となりつつあります。特に採用活動においては、求職者の興味を引き、企業の魅力を伝える強力なツールとなります。
この記事でお伝えした5つのステップ「目的とターゲットの明確化」「ABCDフレームワークの活用」「ストーリーテリングの構築」「視聴者体験を最適化する制作技術」「データ分析と改善の循環」を意識して、効果的な企業PR動画を制作してみてください。
また、SNS採用支援においては、YouTubeを中心に据えながらも、Instagram、メタ広告、ホームページ、LPなど複数のチャネルを組み合わせた統合的なアプローチが効果的です。
最後に、効果を実感できる動画の制作は一朝一夕にマスターできるものではありません。継続的な改善と学習を重ねることで、徐々に効果を高めていくことができます。
もし企業PR動画の制作や活用にお悩みがあれば、マーケティングパートナーとして顧客のビジョンを形にするサポートを行っているresolvesにご相談ください。
動画制作からSNS運用、ホームページ制作まで、企業の認知拡大と採用活動を総合的に支援いたします。