動画広告の反応率が2倍!効果的な制作ポイント10選

「動画広告を作ったけど、申し込みがない…」

こんな経験はありませんか?

ぼくは以前、映像制作会社で働いていた経験があるのですが、クライアントからよくこんな悩みを聞いていました。せっかく予算と時間をかけて動画広告を作ったのに、思うような結果が出ないというケース。

実は動画広告の効果を左右するのは、制作予算の大きさではなく「効果的な制作ポイント」を押さえているかどうかなんです。

動画広告の効果を最大化する10のポイント

動画広告市場は年々拡大しています。電通の調査によると、2024年の日本の広告費は伸び続けており、特にインターネット広告費は3兆6,517億円(前年比109.6%)と前年より3,187億円も増加しました。

その中でもSNS上の縦型動画広告やコネクテッドTVなどの動画広告需要が高まっています。

こんな状況だからこそ、ただ動画を作るだけでなく「効果的な動画広告」を作ることが重要になってきているんです。

動画広告の効果を示すグラフとクリエイティブ要素それでは、動画広告の反応率を2倍、いや、それ以上に高めるための制作ポイントを10個紹介していきます。

1. 冒頭3秒で視聴者の注目を集める

動画広告において最も重要なのは冒頭の3秒です。

LINE社が2020年に発表した「LINE Ads Playbook」によると、外出自粛期間前後でLINE動画広告に対する反応率が急上昇しており、特に冒頭10秒までの再生率や視聴完了率が大きく変化しています。

でも、その冒頭10秒までを見てもらうためには、最初の3秒で視聴者の興味を引かなければなりません。

動画広告の冒頭3秒の重要性を表現した画像アウディ社の事例では、YouTubeのインストリーム広告で「スキップボタン」が表示される前の5秒間に、新型R8が3.5秒で時速100kmに加速する性能を走行映像で表現し、視聴者にそのスピードを体感させる工夫をしました。

この戦略により、視聴率100%を達成したんです。

冒頭で視聴者の注目を集めるためには、以下のような方法が効果的です:

  • 意外性のある映像や音で驚かせる
  • 視聴者の悩みや課題を直接的に提示する
  • 感情に訴えかける強いメッセージを伝える
  • 視覚的に鮮やかな色彩や動きを取り入れる

2. 伝えたいメッセージを1つに絞る

「この動画で何を伝えたいのか」が明確でない広告は、視聴者の記憶に残りません。

特に6秒という短い時間で成果を上げるバンパー広告では、「〇〇〇するなら/といえば、△△△(ブランド名)」というように、最も伝えたい1つのメッセージに絞り込んだ訴求が効果的です。

ぼくがクライアントと打ち合わせする際、よく「この動画で一番伝えたいことは何ですか?」と質問します。すると、「商品の良さも、価格の安さも、限定感も全部伝えたい」という答えが返ってくることが多いんです。

でも、全部盛り込もうとすると結局何も伝わりません。

一番伝えたいメッセージを1つに絞り、それを動画全体を通して一貫して伝えることが大切です。

ターゲットを明確にした動画広告制作

効果的な動画広告を作るには、誰に向けて作るのかを明確にすることが重要です。

成果に繋がらない動画広告によくある共通点は「みんなに刺さる動画」を作ろうとした結果、誰にも刺さらない中途半端な動画になってしまうことです。

明確なターゲット設定を表現した画像3. ペルソナを具体的に設定する

ターゲットを「30〜40代の男性」と大まかに設定するだけでは不十分です。

年収、職業、趣味、価値観、悩みなど、具体的なペルソナを設定することで、より刺さるメッセージを考えることができます。

例えば、「年収400〜500万円、仕事中心の生活、週末は趣味に没頭する30代男性で、時間がなくて自己投資ができないことに悩んでいる」というように具体的に設定すると、その人に響くメッセージが見えてきます。

さらに、カスタマージャーニー(顧客の行動・思考・感情の時系列変化)まで考えることで、どのタイミングでどんな広告を出せばいいかも明確になります。

4. プラットフォームごとの特性を理解する

動画広告を配信するプラットフォームによって、最適な動画の長さや形式は異なります。

例えば、TikTokに商品を詳細に説明する長編動画を投稿しても見られる可能性は低いでしょう。これは、TikTokユーザーのニーズに合っていないからです。

一方、YouTubeであれば、YouTubeShortで認知を獲得し、そのまま長編の説明動画に誘導するという導線を作ることも可能です。

各プラットフォームの特性と最適な動画の長さを理解しましょう:

  • Facebook:15秒以内(冒頭3秒が重要)
  • Twitter:15秒以下(2分以上はエンゲージメントが大幅に下がる)
  • Instagram:15〜45秒(それ以上は「このまま見る」タップが必要)
  • YouTube:スキップ可能な広告は冒頭5秒が勝負

プラットフォームごとの特性を理解し、それに合わせた動画制作を行うことが重要です。

視聴者の心を掴む動画表現テクニック

動画広告で視聴者の心を掴むには、効果的な表現を入れ込むテクニックが欠かせません。

視聴者の心を掴む動画表現テクニック5. 感情に訴えかけるストーリー構成

人は論理より感情で動くものです。

ぼくが広告の訴求としてお客さんに提案させていただくのは、「まず感情を動かし、それから論理で後押しする」という順序です。

例えば、P&G社のインドでの「Whisper」キャンペーンでは、女性の社会的課題に対してメッセージ性のある動画を制作し、国中を動かして支持率91%という驚異的なブランディングに成功しました。

感情に訴えかけるストーリー構成のポイントは:

  • 視聴者が共感できる問題や状況から始める
  • 感情の起伏を作り、視聴者を感情的な旅に連れていく
  • 解決策や希望を示して前向きな感情で締めくくる
  • 視聴者自身の経験と結びつけられる要素を入れる

ただし、Googleの調査によると、感動を誘う演出や意外性を突いたトリビアを盛り込んだ動画は、映像作品として評価され拡散(バズ)することもありますが、ブランドのKPIに対してネガティブな影響を与えかねません。

コンテンツの存在感にブランドメッセージが負けないよう、ブランドのロゴやパッケージをKPIに応じて効果的に表示することも重要です。

6. 視覚的に目を引く色彩とデザイン

バンパー広告の分析結果によると、赤や青などの鮮やかな色彩を用いることで、視聴者の印象を強める効果があります。

また、画面右側にブランドロゴやパッケージを配置すると、PCで視聴する場合、「スキップボタン」や「関連動画」に紛れてしまう可能性があります。これを防ぐには、画面の中央から左側に表示するのが効果的です。

視覚的に目を引くデザインのポイント:

  • 鮮やかな色彩を効果的に使用する
  • コントラストを活用して重要な要素を目立たせる
  • シンプルで分かりやすい構図を心がける
  • ブランド要素の配置位置に注意する

ぼくが以前制作した企業の動画では、競合他社が使わないようなカラーを全面に出したデザインにしたところ、業界平均の2倍以上のクリック率を達成できました。

動画広告の効果を高める技術的要素

動画広告の効果を高めるには、技術的な要素も重要です。

動画広告の技術的要素7. 効果的なBGMとナレーションの活用

動画広告では、視覚だけでなく聴覚にも訴えかけることが重要です。

適切なBGMやナレーションを使うことで、視聴者の感情を動かし、メッセージの印象を強めることができます。

静止画と動画広告の違いについて、LINE広告の分析では、動画広告は視覚と聴覚に訴え、豊富な情報を伝えられるメリットがあるとされています。特にブランド認知度や購買意欲の向上が期待できます。

効果的なBGMとナレーションのポイント:

  • ブランドイメージや商品の世界観に合った音楽を選ぶ
  • ターゲット層が親しみを感じる声質のナレーターや演者を起用する
  • BGMとナレーションのバランスを取り、聞き取りやすくする
  • 感情の起伏に合わせて音楽のテンポや音量を調整する

ぼくがLINEマーケティングのクライアントに提案する際は、「声のトーンがブランドイメージと合っているか」を特に重視しています。若者向けブランドなら明るく元気な声、高級ブランドなら落ち着いた声というように、声質でブランドイメージを強化できるんです。

8. モバイルファーストの動画設計

現在、動画視聴の多くはモバイル端末で行われています。

総務省の「令和5年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」によると、全年代で「オンデマンド型の動画共有サービス」の利用率が最も高く、特に10代から40代では90%を超えています。

そのため、モバイル端末での視聴を前提とした動画設計が重要です。

モバイルファーストの動画設計のポイント:

  • 縦型動画フォーマットの活用(Instagram、TikTokなど)
  • テキストやグラフィックは大きめに設定し、小さな画面でも見やすくする
  • 音声がなくても内容が伝わるようにする(字幕やテキストの活用)
  • ファイルサイズを最適化し、読み込み速度を向上させる

特に最近は縦型動画の需要が高まっています。サイバーエージェントの調査によると、動画広告の市場規模は年々増え続けており、SNS上の縦型動画広告の需要が特に高まっています。

動画広告の効果測定と改善

効果的な動画広告を作るには、制作して終わりではなく、効果測定と改善のサイクルを回すことが重要です。

動画広告の効果測定と改善サイクル9. A/Bテストによる継続的な改善

一度作った動画広告でも、異なるバージョンを作ってA/Bテストを行うことで、より効果的な表現を見つけることができます。

例えば、効果を訴求した動画広告と、価格を訴求した動画広告の2種類を制作し配信することで、どちらが視聴者に刺さるのかを比較できます。

NTTデータとNTTデータ経営研究所の研究では、NeuroAI(人間の脳活動を推定する技術)を利用してTwitterに配信する動画広告の効果向上を目指した共同研究を行いました。

その結果、従来の標準的な動画広告に比べて、動画広告の再生率が23.6%向上し、動画広告のツイートに関するエンゲージメント(いいね・RT等)が35.3%向上しました。

A/Bテストのポイント:

  • 一度に変更する要素は1つだけにする(複数変えると何が効果的だったか分からなくなる)
  • 十分なサンプル数を確保する
  • テスト期間を適切に設定する
  • 結果を分析し、次の改善に活かす

ぼくがお客さまに伝えているのは、「まずは動画を作って、配信後にデータを見ながら少しずつ改善していくこと」の大切さです。最初から完璧な動画を作ろうとするより、改善サイクルを回す方が結果的に効果の高い動画が作れるからです。

10. 適切なKPIの設定と分析

動画広告の効果を測定するには、適切なKPI(重要業績評価指標)を設定することが重要です。

Googleの分析によると、TrueViewインストリーム広告の場合、ブランド認知を狙うなら視聴者がスキップしないようダイレクトに呼びかけるよりも、「5秒後に〇〇〇」といった予告やカウントダウンなどによる自然なスキップ防止策がより効果的という調査結果が出ました。

また、比較検討より下位のKPIを狙う際は、クイズなどを用いた問題提起が役立ちます。

動画広告のKPI設定のポイント:

  • 目的に応じた適切なKPIを設定する(認知獲得、エンゲージメント向上、コンバージョン増加など)
  • 複数の指標を組み合わせて総合的に評価する
  • 競合や業界平均と比較して相対的な評価も行う
  • 短期的な効果だけでなく、中長期的な効果も測定する

例えば、日産自動車の事例では、新規の顧客開拓で購買促進に成功するために、複数のターゲットごとに動画を制作し、USP(自社独自の強み)認知が17ポイント上昇という結果を達成しました。

動画広告制作のよくある失敗と対策

最後に、動画広告制作でよくある失敗とその対策について紹介します。

動画広告制作のよくある失敗と対策動画広告で失敗する主なポイントは2つあります。

1つ目は「広告の趣旨が分からない」ことです。自己満足の制作や、目的やターゲットが不明確な動画は効果が出ません。

2つ目は「不快感を与える」ことです。視聴者に不快感を与える動画は、ブランドイメージを損なう可能性があります。

これらの失敗を避けるためのポイント:

  • 明確な目的とターゲットを設定する
  • 伝えたいメッセージを絞り込む
  • ターゲットユーザーに事前にテスト視聴してもらう
  • 業界や文化的背景を考慮したコンテンツを作る

ぼくがお客さんとチーム内のクリエイターによく話しているのは「クリエイターの自己満足ではなく、視聴者にとって価値のある動画を作ること」の大切さです。

どんなに素晴らしい映像技術を駆使しても、視聴者に刺さらなければ意味がありません。常に視聴者目線で考え、彼らにとって価値のある動画を作ることが重要です。

まとめ:動画広告で成果を出すために

今回紹介した10のポイントを押さえることで、動画広告の反応率を大幅に向上させることができます。

  1. 冒頭3秒で視聴者の注目を集める
  2. 伝えたいメッセージを1つに絞る
  3. ペルソナを具体的に設定する
  4. プラットフォームごとの特性を理解する
  5. 感情に訴えかけるストーリー構成
  6. 視覚的に目を引く色彩とデザイン
  7. 効果的なBGMとナレーションの活用
  8. モバイルファーストの動画設計
  9. A/Bテストによる継続的な改善
  10. 適切なKPIの設定と分析

ただし、これらのポイントを全て自社で実践するのは難しいかもしれません。

動画制作やYouTube運用に悩んでいる方は、プロの力を借りることも検討してみてください。

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